ヒトアジュバンド病とは?
シリコンジェルそのものが接触しなくても(シリコン注入)、シリコンでできた医療材料、たとえば、美容整形で使われる豊胸シリコンバッグ、鼻を高くする隆鼻術に使われるシリコンなどでも起きる可能性があります。
既存の自己免疫疾患の診断基準には合致しないけれども、膠原病に似た症状が見られ、このような病態をヒトアジュバンド病と呼んでいます。
一時は、豊胸シリコンバッグは、ヒトアジュバンド病ととは関係がないと言われてきましたが、最近またこの話題が再燃しています。
実際に、もしかして豊胸バッグのせいでは?という症状が多々見られます。
膠原病のいろいろ
関節リウマチ、全身性エリテマトーデス(SLE)、強皮症、混合性結合組織病(MCTD)などがあります。これらの膠原病は、一般的には診断基準があり、これに伴う異常値が出るものです。
ヒトアジュバンド病のときには、自己抗体の異常が見つかる場合もありますが、なにも異常値が出ないこともあります。
ヒトアジュバンド病の診断基準
大項目
1.症状が出る前に外的刺激を受けたことがある
感染、ウイルス、シリコン
2.少なくとも次の1つがある。
- 重症筋無力症
- 関節炎
- 慢性疼痛、睡眠障害
- 神経症状(とくに脱髄症状)
- 記憶障害
- 発熱、口腔内乾燥
3.原因物質(アジュバンド)を取り除くと症状消失
小項目
- 抗核抗体
- 過敏性腸症候群
- 特異的HLA
- 自己免疫性疾患
治療は豊胸バッグなどのシリコン素材が原因と考えられる異物(アジュバンド)を除去することによって症状が改善します。異物を取り除いても改善しない場合は、自己免疫性疾患に使われるステロイドなどを投与します。
シリコンは、一般的な自己免疫疾患の抗原に比べて弱いと考えられているので、既存の膠原病に比べると、ヒトアジュバンド病の方が一般的な経過はよいとされています。
次回、豊胸バッグとヒトアジュバンド病のケースレポートを紹介します。
☞豊胸バッグを入れていたひとがアジュバンド病になった症例写真
☞豊胸バッグ除去を考えている人へ 現役美容外科医が全てを解説
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