乳がん後乳房再建の美容的満足度

乳がん後に行われる乳房再建には、大きく分けると「豊胸バッグ」を使う方法と「自家移植(自分の組織を使う)」の方法があります。

下のグラフをまず見てみましょう。あえてこのグラフでは、どちらかわからないようにしています。

グラフ1
豊胸バッグと自家移植の満足度の比較
縦線は、乳房の外見上の満足度で、横線は手術後の経過年数です。
青線は、最初満足度が赤線に比べ低いですが、2,3年すると逆転します。

グラフ1:「Patient-reported aesthetic satisfaction with breast reconstruction during the long-term survivorship Period.長期生存期間中の患者の乳房再建に関する審美的満足度Plast Reconstr Surg. 2009 124(1):1-8」からグラフの文字のみ改変

満足度の違い

グラフを見る上でいろいろな考えがあるかもしれません。
「豊胸バッグは保険医療でできるようになったくらいだから、満足度は高いはず」

「自家移植は、自分の組織を移植して豊胸するわけだから、満足度低そう」

「豊胸バッグの方が出来上がりは、ボリューム感も出てよさそう」

「形成外科学会、乳がんの患者さん支援グループなどが乳がん後の乳房再建に豊胸バッグを使えるように厚生労働省に要望していたくらいだから、豊胸バッグの方がいいに決まっている」

「豊胸バッグが悪いことがわかっていたはずなのに、豊胸バッグを推し進めたのは、利権がからんでいたから、もしかして、自家移植の方がだんぜんよかったのでは?」

さて、正解。
赤線が豊胸バッグで、青線が自家移植です。

上のグラフは、海外の医学論文からのもので、少し古いのですが2009年に発表されたものです。このとき既に豊胸バッグより自家移植の方が将来的には満足度が高いのがわかっていました。その他、多くの論文でもこのように指摘している研究報告が多いのです。

乳がん後の乳房再建に健康保険が使えるようになった経緯

ところがどうでしょう?日本国内で、乳がん後の乳房再建で豊胸バッグが自費でなく、健康保険が使えるようになったのは2013年4月です。

「いよいよ乳がんの再建に豊胸バッグが使えるようになった~」と朗報とされました。

乳房再建手術の1つとして、よいと考えた上に保険が使えるようになったのは、患者さんにとっても選択肢が増えたのでとてもよいことと思われていました。

でも、ですよ。健康保険が使えるようになったのは、2013年4月からです。

豊胸バッグを健康保険にしてしまうのは、必要悪?

ぼくは、たいして長いわけではないかもしれませんが、豊胸バッグを扱って15年以上いろいろ経験してきました。短期でみればよいこともあるけど、長い目で見れば・・・×。

2013年当時、この豊胸バッグが使うことができるようになったはいいけど、将来的には満足度低くなるだろうな、というか逆に豊胸バッグを入れていることに不安にならないのだろうか?とか、乳房が硬くなったり、変形してきたり・・・というのは、想定内のことでした。

健康保険でそんなことやっちゃって、ホント大丈夫?って感じでした・・・。
豊胸バッグ後に起こりうる悪性リンパ腫は、想定外でしたが。

想定内というのは、入れてから10年もすると、経年劣化による豊胸バッグの破損、拘縮による乳房変形、バッグが皮膚から飛び出してくる・・・というものです。

おそらく僕だけでなく、豊胸バッグを扱っていた医者は少なくとも、将来的にトラブル起こすと少なからず思っていたと思うのです。

豊胸バッグがよいという医学的根拠が低かったのに、なぜ?

保険が使えるようになったのは、豊胸バッグの会社(アラガン)とお偉い医者、乳がん団体などの利権も絡んでいたのではないかと思っています。

2013年以前には、豊胸バッグによる乳房再建は満足度が低いという研究報告が多く出ていました。乳がん後の乳房再建に豊胸バッグを使っても、患者さんの満足度が自家移植よりも意外にも低いことがわかっていたはずなのです。

通常は、保険診療で使う薬、デバイス、医療機器はある程度の医学根拠があり、効果も期待できるものを厚労省の管轄の社会保険審議会が十分に審議して、健康保険で使えるように認可しているのです。

このように考えると、はたして、この時点で少なくとも乳房再建に豊胸バッグがとてもよい選択肢であると判断したのは理解に苦しみます。百歩譲って美容目的にはよいとして、病気だったひとにさらに治療に使うものですよ?

あと出しじゃんけんだとおもわれるかもしれませんが、社会保険審議会ではいったい何を審議していたのでしょうか?

将来もトラブルを抱え込むひとは想定内だった?

豊胸バッグを扱っている医者であれば、入れた当初ははいいのですが、年々乳房が変形してきたり、トラブル続きになるのわかっていますから。

乳がんでない普通のひとが豊胸するための手段として使う「豊胸バッグ」でたくさんトラブル起きるのに、極端に言うと、乳がんで苦しんだ上に、またその後もまた入れた豊胸バッグで苦しむことになるなんて、ひどい話です。

挙句に、数年前からは、豊胸バッグによる悪性リンパ腫の可能性と・・・乳がん後に豊胸バッグをいれたひとにとっては、踏んだり蹴ったりです。

次回は、乳がん後の再建になぜ自家移植の方がよいのか考えてみましょう。そして、豊胸バッグがあまり芳しくない理由も考えてみましょう。

豊胸バッグトラブルと合併症、シリコンバッグ除去を考えているひとへ

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